ロンの話
近所の老夫婦がロンという名の犬を飼っていた。
応接間に飾ってある写真立てに入った犬をおじいさんに見せてもらった。
雑種のオスで賢そうな顏をしていた。うちの犬に少し似ている。
16才で老衰で亡くなったという。
知人のかかりつけの獣医さんが「死」に関し「犬や動物は人間みたいに死を意識することはなく、『最近だるいなぁ』『体が重いな』『苦しい、痛い』と思ってるうちに死んでいく」という主旨の話を知人にしたというが、このおじいさんと話してみてやはり犬も死期を悟るんじゃないかと私は思った。
ロンは外飼いの犬だったが雷や花火の時だけ家の中に入れてもらっていた。
怖そうに鳴いて前脚でガラス戸をカリカリと掻くのが合図だった。
その日は穏やかな昼なのにロンが鳴きながらカリカリするので、おじいさんは不思議に思いながらも室内に入れてあげた。
そんなことは初めてだった。
高齢のロンは弱っている脚でゆっくりと歩き出したのでおじいさんが後をついて行くと一階の各部屋の前で立ち止まっては中を見つめている。
そうして全部の部屋を回り終えると階段のところまで行って上をじぃっと見ているので、おじいさんが抱っこして二階まで連れて行ってあげるとまた各部屋を回って中を見ている。
満足したのか階段まで戻ってきたのでまた抱っこして下に降ろした。
その後ロンは何を要求するでもなくウトウトし出したのでガラス戸を開けて犬小屋に戻してあげた。
その時は不思議なことをするなあとは思ったが特に気にも留めなかったそうだ。
数日後の朝、おばあさんがごはんの皿を持ってロンの小屋に行くとすでに虫の息になっていた。
覚悟はしていたものの慌てておじいさんを呼びふたりで家の中に入れて間もなく、ロンは腕の中で亡くなった。苦しまず眠るように。
「後になって思い返すと、ロンが家に上がって各部屋を回ったのは、16年暮したこの家にサヨナラの挨拶をしたとしか考えられない」
そうおじいさんは言っていた。
フォロワーさんが描いてくれた🐰コロンと🐶ソーヤです ※これが本名です
鬼哉さん(台湾の方)がコロンとソーヤの写真をもとに渾身の擬人化!
スミマセン💦 お名前忘れました💦 素朴なタッチが気に入ってます
卯茶野てしろさん ニット帽子を被ったコロン
おそらく皆さん絵を生業にしている方たちだと思います。すげえ上手いもの👏
ありがたいことです。
たまにユルい4コマあげま~す
独りと一匹の場合
オリンピックと狩猟民族の実力